楽曲編成 |
九重に、咲けども花の八重桜、いく代の春を重ぬらん。しかるに、花の名高きは、まづ初花を急ぐなる、近衛殿の糸桜。見渡せば柳桜をこきまぜて、都は春の錦燦爛(さんらん)たり。千本の桜を植え置き、その色を所の名に見する、千本の花盛り、雲路の雪や残るらん。毘沙門堂の花盛り、四天王の栄華も、これにはいかに勝るべき。 上なる黒谷、下河原、昔遍昭僧正の、浮世を厭ひし華頂山。 鷲の御山の花の色、枯れにし鶴の林まで、思ひ知られて哀れなり。清水寺の地主の花、松吹く風の音羽山。ここはまた嵐山、戸無瀬に落つる滝つ波までも、花は大堰川、井堰に雪やかかるらん。
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