楽曲編成 |
求むれど得難きは、色になんありける、さりとては楊家のめこそ、妙なるものぞかし。雲のびんづら、花の、げに海棠のねむりとや、大君のはなれもやらで眺めあかしぬ。 緑の花のゆきつもどりつ、いかにせん、今日九重にひきかへて、旅寝の空の秋風。 霓装羽衣(げいしようい)の仙薬も、馬嵬(ばかい)の夕べに、ひづめの塵を吹く風の、音のみ残る悲しさ。 西の宮、南の園は秋草の露しげく、落つる木の葉のきざはし、積れど誰かはらはん。 鴛鴦(えんおう)の瓦は、霜の花匂ほふらし、翡翠のふすま、ひとりきて、などか夢を結ばん。
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