作曲者 千代田検校
曲名 石山源氏(下)
曲名カナ イシヤマゲンジ(ゲ)
作曲年
楽器構成 歌、箏、三弦
楽曲編成 抑 桐壺の、夕の煙すみやかに、法性の空にいたり、箒木の夜の言の葉は、終に覚樹の花散りぬ、空蝉の空しき此の世を厭ひては、夕顔の露の命を観じ、若紫の雲を迎へ、末摘花の台に座せば、紅葉の賀の落葉も、よしやただ、たまたま仏意にあひながら、榊葉のさして往生を願ふべし。花散る里に住むとても愛別離苦のことはり、まぬがれ難き道とかや。唯すべからくは、生死流浪の須磨の浦を出でて、四智円明の明石の浦に澪標、いつまでもなりなむ、唯蓬生の宿ながら、菩提の道を願ふべし、松風の吹くとても、業障の薄雲は晴るること更になし、秋風聴えずして、紫磨忍辱の藤袴、上品蓮台に心をかけて、誠ある七宝荘厳の真木柱の下に行かむ。 梅が枝の匂ひにうつる我心、藤の裏葉に置く露の、その玉葛かけしばし。槿の光たのまれず、朝には、栴檀の蔭に宿木名も高き、官位を東屋の内にこめて、楽み栄を浮舟に喩ふべしとかや。これも蜻蛉の身なるべし、狂言綺語をふり捨てて助け給へと諸共に、鐘打ち鳴らし回向も既に終りぬ。よくよく物を案ずるに、紫式部と申ししは、彼の石山の観世音、仮にこの世に現れて、かかる源氏の物語、是を思へば夢の世と、人に知らせむ御方便、実に有難き誓ひかな。
演奏時間 13分36秒
楽譜
音源
委嘱
演奏日 1975/11/21
演奏者 歌・箏 中田博之、箏 山勢司都子、歌・三弦 山勢松韻
備考 謡曲「源氏供養」に基づく。奥歌曲。「源氏物語」の巻の名を詠み込んだ供養のための願文。
作曲者カナ チヨダケンギョウ
曲名コード 52-b1
サウンド
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