楽曲編成 |
八雲たつ出雲八重垣神遊び、あまのさか鉾手にとりあげて、四方をきつと見ひらくは、これぞ悪魔を毘沙門天と、ゐせいをはつて座し給ふ、傍にならびし福禄寿、長き頭を振りたてて、福はこちらへ禄は又、御腹の中へたつぷりと、寿を万歳に千代、八千代、団扇をあげてまねきけり、やよ待ち給へ我こそは、こんとんみぶんの初よりなにくれとなく骨折りて、億万歳を経たればこそ、今では楽な隠居株、これぞまことの寿老人、布袋は腹をかかへつつ、たからかにこそ笑ひけれ、かかる所へ恵比寿三郎、漁の獲物の生鯛を、こわきにかかへて入り給ふ、大黒天には息せきと、小槌ふりふり米俵御初穂なりとささげつつ、後に続いて弁才天女、秘蔵の琵琶を手に持ちて、静々入り来る折こそよけれ、誠に今日は神遊び、粋も不粋も世の中の縁を結ぶの御酒盛、酒はさんきう松の尾で、宝の船は朝夕に、入り来る福は小網町、その川通り名も高き、きほひは魚河岸四日市、いさむ新場や茅場町、鎧の渡かぶと岩、花の江戸橋横に見て、ちよつと小舟で米がしの、うんはよし町小あがりも、心うれしき団扇がし、新材木の屋造に、鶴と亀との盃を、すこん参れば、やほよろづ、舞をまひまひ調子を揃へ、手を打ちしめます腹鼓、その音もさえてこの家の内、幾夜かはらぬ繁昌は、実に神国の福のたね、目出たく祝ひ納めけり、めでたく祝ひをさめけり。
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