楽曲編成 |
立ちそむる霞の衣春しるき、許しの色のゆかりある、名さへなつかしあやめがた、その琴の緒のとをあまり、三とせの昔偲ばるる、おもひ出づればきさらぎや、望の夜待たでおぼろげに、入りにし月の顔ばせを、おぼつかなくも今もなほ、ながめやらるる大空は、恋しき人の形見かは、残んの雪の故郷の、越路に帰る雁がねも、花の雲間にかげ見えて、処女ども、をとめさびすもから玉を袂にまきて、処女さびすも、袖打ちかへし、うちかへし、舞ひ遊びしはかしこくも、音に聞えし滝の宮、それは吉野のやまと琴、これは筑紫のことふりし、千代のかみつ代、豊国や、とよさかのぼる朝日子の、彦の山辺にひき初めて、幾代栄えむ松が枝に、かよふ常盤の家の風、尽きぬしらべぞたのしかりける |